🍣 特に何でもない日曜に作る、静かに満たされる「てまり寿司ランチ記録」
日曜日というのは不思議な日だ。平日の疲れがまだほんのり残っているのに、休みの嬉しさがじわっと広がってきて、どこにも出かけなくても満たされるような時間が流れる。そんな日曜の午前、冷蔵庫を開けて食材を眺めていたら、ふと「今日はてまり寿司を作ろう」という気分になった。理由らしい理由はなくて、本当にただなんとなく。だけど、その“なんとなく”が料理をする上ではとても大事なスイッチだったりする。
てまり寿司を作るのは難しくないけれど、決して一瞬でできるものでもない。酢飯を冷まして、具材を切って、ひとつひとつ丸めるという工程がある。でも今日はその工程すら心地よかった。休日にだけ訪れるあの独特の“静けさのリズム”がキッチンに広がって、包丁の音やラップを扱う手つきが妙にしっくりくる。テレビもつけず、ただ淡々と作業する時間は、料理以上の癒やしをくれる。
そしていつものように作り始めたはずが、気づいたら「これもう立派な昼ごはんでは?」と思うほどの食卓になっていた。てまり寿司を中心に蒸し野菜、小鉢、汁物、そして柿のパフェまで並べてしまったのだ。こんなに頑張る予定じゃなかったのに、なぜか休日は料理が楽しくてスイッチが入りすぎる日がある。今日はまさにその日だった。
🍱 ころんと丸い6種のてまり寿司が、日曜の静けさを彩る


今回作ったてまり寿司は全部で6種類。 まぐろ・サーモン・しらす・いくら・卵・白身の魚。
どれも特別珍しい食材ではないけれど、丸めた酢飯の上に小さく乗せるだけで、途端に「丁寧な料理」へと変わる。てまり寿司って本当に不思議で、組み合わせも作り方もシンプルなのに、見た目が華やかになる料理の代表みたいな存在だと思う。
ひとつずつラップで包んで形を整えていくと、気分はちょっとした細工職人。酢飯の量が少ないから重くならないし、何より見た目が可愛い。まぐろとサーモンの赤とオレンジ、卵の優しい黄色、白身の透明感、しらすの素朴さ、いくらのつややかさ。その小さな彩りが集まると、皿の上に自然と“お祝い感”みたいなものが生まれる。
今日はただの日曜だけれど、てまり寿司を盛ると「誰かに食べてほしい料理」になる。特別なことはしていないのに、ちょっとだけ自分を褒めたくなる。料理って、こういう瞬間があるから面白い。
🥦 蒸し野菜の籠と小鉢がそろうと、一気にごちそう感が生まれる
てまり寿司を作っただけでもまあまあ頑張ったのに、気づけば蒸し野菜まで作っていた。これもまた日曜の魔力だと思う。蒸籠に布を敷いて、さつまいも・かぼちゃ・ナス・大根・ブロッコリー・トマト をぎゅっと詰めて蒸す。湯気がふわっと上がっていく姿を見ているだけで、少し気持ちが緩む。
蒸し野菜は切って蒸すだけなのに、味がやさしくて落ち着く。添えたごまダレを少しつけるとほんのり香ばしくなって、手間は最小限なのに満足度が高い。こういう料理は派手じゃないぶん、休日の食卓にあると“じんわり嬉しい存在”になってくれる。
さらに小鉢も作った。 ポテトサラダ、煮物、きゅうりのさっぱり系。 普段の冷蔵庫の残り物を活かしつつ、てまり寿司に色のバランスを合わせた。特別感はないけれど、全体に統一感が出て、ゆっくり食べたくなる“落ち着きのあるセット”になった。
そして汁物は豆腐の入ったお吸い物。具材は少ないけれど、あっさりしていて今日のラインナップとの相性が良かった。メインの味を邪魔しない優しい味。こういうシンプルな汁物があると、ごはんが一気に整う。
🍧 柿のパフェで静かに締めくくる、秋らしい甘さのごほうび
そして今日の締めくくりは、柿のパフェ。 季節の果物を使ったデザートって、それだけで“ていねいに暮らしてる感”が出てしまう。でも実際は難しいことは何もしていない。柿を薄くスライスしてグラスに花のように並べ、ヨーグルトを重ね、少しベリーを飾っただけ。
それなのに、すごく特別に見える。 食べると柿のやさしい甘さが口に広がって、食後でも重くない。歯ごたえが残る部分と、とろっと甘い部分が混ざるのも楽しい。 今日の食卓を、最後にふわっと明るく締めてくれる存在になった。
てまり寿司も蒸し野菜も小鉢も、全部ちゃんと満足できたけれど、この柿のパフェがあったおかげで“いい日曜日だったな”と自然に思えた。たった一品のデザートでそんなふうに思わせてくれるから、柿はすごい。
🍵 なんでもない日を、静かに特別にしてくれるのは自分の手
今日の料理を振り返ってみると、特別でもなんでもない日曜が、料理によってじんわり特別な日に変わっていくのがわかる。 誰かに見せるためでも、SNSでバズるためでもなく、“自分が食べたいものを自分のペースで作る時間”。それが一番のごちそうだったのかもしれない。
てまり寿司を丸める時間、蒸し野菜を眺める時間、柿を切る時間――どれも静かで、穏やかで、私の生活にちょうどいいリズムをくれる。 平日はできないことでも、日曜ならできる。 こういう日があるから、また来週も頑張れる。
今日の食卓は、そんな“なんでもない日の小さなごちそう”だった。
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